遺言によって財産を処分することを遺贈とよびます。
遺贈に関しては民法964条に規定があります
民法964条 包括遺贈・特定遺贈
遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。ただし遺留分に関する規定に違反することができない。
特定遺贈とは「ナンバー○○の車は××に住所○○の土地建物は△△に〜」といったように、個別具体的に指定して遺贈を行なうことです。
包括遺贈とは全部または1/3などといった割合などで指定する場合を呼びます。
遺贈は「遺言者は」とあることから遺言によってなされなければならないと解されます。
遺言については民法960に定めがあり、方式については民法第967条に定めがあります。
民法第960条 遺言の要式制
遺言は、この法律が定める方式に従わなければ、これをすることができない。
民法第967条 三種の普通方式
遺言は、自筆証書、公正証書又は秘密証書よってしなければならない。ただし、特別の方式によることを許す場合は、この限りではない。
※特別の方式とは、死亡危急者、伝染病隔離者、在船者、船舶遭難者の遺言を指します
民法964条のただし書きには「ただし遺留分に関する規定に違反することができない」とあります。
遺留分の定めとは民法の第8章(第1028条〜)の事を指します。
遺留分とは「法律で保護された相続財産の一部を受け取る権利」の事です。
遺留分の割合と遺留分を受け取れる人は民法第1028条に定められています。
民法第1028条 遺留分権利者とその遺留分
兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、左の額を受ける。
一、直系尊属のみが相続人であるときは、被相続人の財産の三分の一
二、その他の場合には、被相続人の財産の二分の一
遺贈はこの財産の二分の一もしくは三分の一の部分を除いた部分でしかできません。
また、この遺留分の侵害を受けた相続人は遺贈を受けた人に対して、「減殺請求」というもので、その遺留分を確保することが出来ます。
相続人とは誰がなるのか等くわしくは「遺産相続人の範囲」をご参照下さい。
遺留分の減殺請求に関しては「内容証明による遺留分減殺請求」をご参照下さい。
具体的に遺留分はどうなるのか、例をあげてみます。
<例> 財産が現金1200万円、相続人が配偶者、子3人であった場合。
・民法第1028条により、遺留分は全体の「1/2」であるから、遺留分の総額は600万円
・相続者が配偶者と子の場合、配偶者の相続分は「1/2」であるから600万円の1/2で300万円
・子の相続分は「1/2」であるから、「子全体」の相続分は300万円
・子は3人なので3人で300万円を均等割して、「子1人あたり」の相続分は100万円
○ 遺贈可能分:600万円、配偶者の相続分:300万円、子1人あたりの相続分100万円。
遺留分というのは「権利」であるので遺留分を犯されたからといって請求しなければならないものではありません。
故人の遺志を尊重し、遺言通りの遺贈を認めるのもひとつの選択です。
もちろん正当な「権利」であるので、遺留分を侵害された場合は遺贈を受ける人に対して、遺留分を請求していいのです。
「遺留分の減殺請求」を行ないたいかたは次の「内容証明による遺留分減殺請求」をご覧下さい。
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